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2014-01-22

風のゆくえ

今朝、染織作家・吉田美保子さんに製作を依頼していた反物()が届いた。
タイトルは、この反物のテーマでもある「colored wind」。
実際にお会いしてから、美保子さんが私に見出してくださった
「透明な風」のイメージと「山桜」の色。
私自身が思い入れのある「紅葉」の色。
「感化し、感化される存在でありたい」という願い。
それらが「交錯する」ような格子柄の反物が、
4ヶ月半の間、美保子さんと何度もやりとりを重ねて模索した作品が、
ついに完成したのだ。
colored wind反物
ほんのりと淡い山桜のピンク。
こっくりと色付き始めた紅葉の朱と黄色。
所々に見え隠れする、匂い立つ紅。
デザインや色目など、全ては真っ白なところから始まったのに、
それぞれの色が、あるべき所に整然と納まっているようにさえ見える。
あれだけ悩んだのに、自然に、成るべくして成ったような…
作り上げたというより、辿り着いたような心地だ。
まるで、右へ左へ、ちょっと強まったり、停滞したり、小さく渦を巻いたりした風が、
広い、明るい場所にすーっと吹き抜けていったような、
澄み切って舞い上がって行ったような、そんな気分。

折しも、高知のロギールさん・徳島の中村さんの所で、
生き方としての紙漉き(=自然と共生するための紙漉き)を目の当たりにした直後。
木と水と太陽から作られる「紙」は、生かされていることの重みそのものだ。
水に溶いた紙料を簾桁で汲み上げるごとに、命を、人生を、漉き上げる。
そんな実感を経て自然の恵みに触れた今、この身は余計なものが削ぎ落とされて、
シンプルになったと感じている。

全ては、この反物制作から始まった。
「自分の色」を追い求めるほどに、却って透き通っていく感覚は、
colored windの辿り着いた場所。これから進んでいく未来。
「生かされていることの重み」を常に心に刻んで、和紙を生かし、
自分自身が生かされたいと思う。
できる範囲で、少しずつ進んで行くしかないんだと、強く強く思う。
そうやって生きていくんだ、生きていきたいんだな、と。

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