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2013-10-01

逆転

伊勢型紙

ものづくりがしたいと願い続けてきたけれど、具体的に何をつくる?
せっかくヒントは「好き」の中にあると気付いたのだから、
思いつくままに書き出してみた。

〇好きなモノ・コト(順不同)
 月、着物、帽子、花柄、万年筆、ひらがな、型染め、型紙、切り絵、文楽、浪曲、
 和紙、折り紙、手紙、金木犀の香り、蛍、和歌集、種田山頭火、せんべい、
 デパ地下の物産展めぐり、知らない駅で途中下車してふらっと散歩、
 手芸、同じ作業の繰り返し

書き出したものを眺めながら、かつて職人志願したことを思い出した。
大学3回生の秋、周りが黒スーツに身を包み、企業面接に向かう中、
私は職人養成所や弟子募集をしている所を探していた。
木工、陶芸、漆芸、七宝、表具、和裁、彫金、竹細工、染色、織物…
色々と訪ね歩く中、伝統工芸が学べる専門学校の存在を知る。→
中でも、一番魅かれたのは「和紙」のコースだった。
幼い頃から、ノートや便箋などの紙文具をはじめ、
紙そのものが好きだったから、自然の流れだろう。
しかし、金銭面など諸々の事情で断念。
そんな時に出会ったのが、「伊勢型紙」だった。

あの日のことは鮮明に覚えている。
京都の土産物屋に飾られていた、緻密な模様の和紙。
一目見た瞬間、その美しさに心を射抜かれてしまった。
同時に、強く願った。
「この紙を染める型を彫りたい」と。

その型が主な産地(三重県鈴鹿市)の名前から、
「伊勢型紙」と呼ばれることは後で知った。
三重の他、京都や東京にも職人さんがいて、それぞれに弟子入り先を探したものの、
染める着物自体が減っている中では、型紙の需要もまたしかり。
「君の人生までは背負えない」と言われてしまったが、
「どんなに辛くても、どうしてもやりたいんです」と押し切ることはできなかった。
夢を貫けなかったこと。
その程度だった夢。
自分の弱さに失望し、苦い記憶ごと、伊勢型紙への思いは断った。

もうずいぶん前に断ち切った、忘れた、諦めたはずなのだ。
それなのに。
やっぱり型染め・伊勢型紙が好きな自分がいた。
その事実に驚きながら、再度「好きなもの」リストを眺めると、
これまた断念した「和紙」もある。
…本当に、できないのかな。

家庭を持ち、老いた両親の心配もある今、何年も掛けて家を離れ、
弟子入り修行している余裕はない。
私にとっては、伝統を守ることが目的ではなく、作りたいものを作ることが大事。
ならば、逆に、できるんじゃないだろうか。
自分で型を彫って、和紙に染めたら…
ついでに、その和紙も自分で漉くことができれば…

やっと見付けた、やりたいこと。

*画像は伊勢型紙の参考写真

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